ただあの子になりたくて


*・*・*・*・*

けたたましい音がする。

ぼやけた意識の中にまでも響き続けるその音に、私は渋い声で唸った。

こんな音を鳴らすのはアレしかない。

覆いかぶさる掛け布団をのそのそと腕で押しのけ、枕もとを探る。

けれど私は横着にも瞼を開けないまま、むすっと顔をしかめた。

どこにもない。

「ああっ、もう!!」

掛け布団を跳ねのけ、飛び起きる。

ベッドわきに転がる目覚まし時計を睨みつけると、即座に駆けつけ、その脳天を叩きつけた。

短い針が示す7の数字に舌打ちをして、ベッドへと倒れこもうとした。

が、私は大きく目を見開いた。


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