ただあの子になりたくて
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けたたましい音がする。
ぼやけた意識の中にまでも響き続けるその音に、私は渋い声で唸った。
こんな音を鳴らすのはアレしかない。
覆いかぶさる掛け布団をのそのそと腕で押しのけ、枕もとを探る。
けれど私は横着にも瞼を開けないまま、むすっと顔をしかめた。
どこにもない。
「ああっ、もう!!」
掛け布団を跳ねのけ、飛び起きる。
ベッドわきに転がる目覚まし時計を睨みつけると、即座に駆けつけ、その脳天を叩きつけた。
短い針が示す7の数字に舌打ちをして、ベッドへと倒れこもうとした。
が、私は大きく目を見開いた。