ただあの子になりたくて
布団に触れた手のひらに、ふわりと感覚がある。
生きている。けれど私ではない。
私は打ち震えて呟いた。
「私、本当に、椿になったんだ」
いまだ信じられない言葉を自分自身で聞いて、ぼうっと白い天井を眺めていた。
すると、高い電子音が鳴りだした。
弾かれるように飛び起きれば、机の隅でスマホの画面が光っている。
ごくりとつばを飲み込む。
それは私のではなく、椿のスマホ。
手は震えたけれど、一息に手に取り、そして硬直した。