恋をして
 それからも彼女はこれまで通り会ってくれた。"友人"として。そして、現在に至る、というわけだ。
彼女への想いはなくなるどころか、むしろ以前にも増して大きくなっていた。本当は毎日でも会いたいくらいだったが、いかんせん安月給な俺は月に1~2回が限度だった。
一番辛いのは別れる時だ。また1ヶ月会えないのか、と思うと、胸が苦しくなった。夢から現実へと無理やり引き戻されるような、そんな感覚。
―もっと俺に金があれば
何度そう思ったか知れない。世の中、やはり最後は金なのだ。世界は世知辛く、欲望で溢れている。
俺は仕事にやりがいなんて感じたことはない。生活費の為もあるが、月に1回か、2回ある彼女と会う日に使う金の為に働いてる方が大きかった。金の為以外に働く意味なんて、これっぽっちも感じていなかった。
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