山下くんがテキトーすぎて。
恥ずかしくてうつむいたまま、
私は静かに自分の席についた。
ようやく心拍数も元に戻ってきて、
ふぅ、と大きく息を吐いてみる。
とりあえず、よかった。
ほんとによかった。
出張でいてくれてありがとう先生…
ほっと胸をなでおろした瞬間、
不意に、隣から腕を引っ張られた。
「おはよう、愛音ちゃん」
にっこりと、少し完璧すぎる笑みを浮かべた山下くんと目が合う。
「お、おはよう山下くん…」
「寝坊したの?ばかだね」
「ばかじゃないもん…」
「………」
何考えてるか分からない瞳で、
じっと私を見つめてくる。
なんか山下くん今日、変じゃない?
よく、わからないけど……
あっ、いや、わかった。
なんていうか、違和感の正体?
「山下くんが朝から起きてる」
「ばか、寝れるわけ無いでしょ。愛音ちゃんが来てないってのに」
「えっ……?」
山下くんが、少しだけ目を伏せた。
「待ってた。心配した」