山下くんがテキトーすぎて。
そこでようやく、私は思い出した。
昨日そーとー意味不明な理由で勉強を中断し、先に帰ってしまったことを。
山下くんといると、
ドキドキするから……なんて。
……って、
あああああああ…っ!!!
今になって思えば、
そーとー失礼なことしてる私!
教えてもらっている分際で、私みたいな赤点ガールが生意気な行動を……
眠っている山下くんに、頭を下げた。
「山下くん昨日はごめんね、
いきなり帰るなんて言って…」
小さい声で、謝る。
……と。
「……愛音ちゃんのばか」
机からわずかに顔を浮かせて、前髪の隙間から瞳を覗かせる、山下くん。
目が合って、
また、ドキンって音がした。