ひと冬の想い出 SNOW
ルールを決めましょう、小鳥遊さん。
「まず名前。それはすらすら答えられたから問題ないか。」


お世辞にもテキパキと、とは言えないがマイペースに進行する小鳥遊さん。


私は気がつくと正座をして小鳥遊さんを見つめていた。


彼はきれいな字を書く。


メモ帳には、『大嶋雪乃プロフィール』と書かれ、名前にはふりがながふられた。


「あ、個人情報とか気にする?」


「いえ。今はそんなこと言ってられませんし。」


「わかった。じゃあ、覚えている範囲のことで俺に自分のことを教えて。」


彼はメモを取る体制に入った。


私は、言われた通りに覚えていることをずらずらと口に出した。


血液型はA型、誕生日は12月26日。身長は158センチで大学1年。趣味は読書と料理。中学では調理部、高校では帰宅部。


「他には?家族のこととか。」


「はぁ、家族ですか。」


私は家族を思い出してみる。


多分父と母がいて、多分兄弟がいて、多分ペットを飼っていたはず。


えっと、家は、多分住宅街か何かで、多分親と一緒に暮らししてる。


多分父も母も働いてて、兄か姉もいる。


「…いきなり多分が増えたね。」


「すみません。なぜかはっきりと思い出せないんです。自分のことはわかるんですが。」


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