ひと冬の想い出 SNOW
うーんと、腕を組んで目をつぶり、斜め上を見るように首を傾ける小鳥遊さん。


そして左右に揺れ出す。


…これは考えているのだろう、か?


数秒した時、小鳥遊さんはパッと目を開いた。


「もうしかして、昨日までのことが思い出せないのと、何か、関係があるのかもしれないね。」


ゆっくりと話す小鳥遊さん。


だから、一度聞けば理解できる。


たしかに小鳥遊さんが言うことは一理ある。


記憶のトリガーになっているのなら、何かの拍子がないと思い出せないだろう。


「あと、憶測で申し訳ないんだけど、雪乃は昨日何かあって、幽霊になったんじゃないかな?」


「私もそれ、考えました。」


幽霊とは普通、亡くなった人の霊を指す。


だから始め幽霊だとわかった時、私は死んでしまったのか、と思った。


だから、昨日の記憶がなくても、まあ理解はできる。


もし死んでいるのなら、なぜ成仏できないのかはわからないけども。


「記憶が戻らないぶんには、どうにもなりませんね。どうしましょう?」


このまま小鳥遊さんにお世話になるのも申し訳ないですし。


でも、小鳥遊さんがいない間に玄関の扉をすり抜けようとしたら普通にぶつかったし、触ってあげようとしたら触れなかった。


つまり、私はここを出られないということだ。


「何言ってるの?ここにいていいよ。」


私の独り言が全部聞こえていたのか、小鳥遊さんは驚く様子もなくそういった。


逆に、その言葉に私が驚いた。


普通、今日知り合った人(まあ幽霊にしても)にここまで親切にできる人はいるものなのだろうか?


私が知り合った人の中にはいない気がする。


「本当にいいんですか?」


「うん。だってどこから来たかもわからない上に、ここから出られないんでしょ?逆に考えれば、俺と雪乃は何か共通点があるってことかもしれないし。」


「はい。」


小鳥遊さんの話すペースは、不安になりそうな話をしているのに、落ち着いてくる。
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