ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
ナゼか嬉しそうな感じ。
わけがわからない。


「俺が女連れであの店行ったことねぇもんだから、『本命か?』ってしつこく聞いてきて」


(えっ…?本命……?)


「羅門は高校時代からの親友だから本命できたら会わせるって約束はしてた」


「あ…あの……」


私は副社長だとは思わずにいたのよ!?
それなのに、本命とかって何!?


「またからかいの電話かけてくるんだろうな。いい意味でケイに騙されたって」


一人で想像してる。
私、騙してなんかない。


「わ、私、ダマしてなんかいません!」


自分に自信がなくて、着飾った格好でないと会えなかった。
それと言うのも谷口さんだと名乗ってた貴方が、いつもヤンキーっぽい服装をしてたもんだから。


「ハデな方が轟さんに似合うのかなって思ってただけ。だから、あんな服を着て……」


似合いもしないのに派手で大人っぽい服を借りた。
人の視線集めるのもイヤなのに、それでも谷口だった彼の隣に立ちたくてガマンした。



「今日は…?」


副社長の彼を見つめる。


「俺はアロハだけど?」


口元が綻ぶ。



「あ、あの……」


自分らしい姿で会おうと決めた。
吃ってもいいから話をしようと思った。

でも、いざ目の前にいる彼がオフィスの副社長だと知ったら、声は喉の奥で固まってしまって……。


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