ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
(……コレってチャンスじゃないの?)


オフィスというお城の中で、下働きをしてた私が衛兵に特進した。
新しい武器を作る人達が集まってる場所で、新しいモノが作り出せたら変われるかもしれない。


「重荷です、けど……」


やっぱり…と息を吐く叔父さん。
幼い頃から私のことを見てるから、ガッカリするのも分かる気がする。



「でも、あの……」


重責と戦ってる彼のことを思った。
自分も頑張ろうと決めたばかりの今だ。


「できる限り……全力でやります、から……」


決意を持って進もう。
今日から少しずつ、変わっていければいい。


「……そうか。うん!」


叔父さんはそう言って安心したように肩を叩いた。
ポン!と弾かれた肩の痛みは、心地いいくらいの気分の良さがある。


「それじゃ早速、開発中の商品の説明をしよう」

「あ、その前に検品課から荷物を持ってきたいんですけど……」


デスク内に私物も置いてるし、課の人達にも挨拶くらいはしておきたい。


「あー、そうだった。課長に話してるからいいかと思ってた」


「技術部」と別名呼ばれる部の長をしてる叔父さんは、人目とか常識とかには案外と疎い。
おかげで私は、何度もオフィス内で恥ずかしい思いをしてきた。


(だけど、それも跳ね返していけるような人間になってみたい)


新しい商品を作りながら自分も新しく変わろう。

副社長の彼と見合える人間になっていくんだーーー。



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