ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
真綾達が帰ってきた頃、私は轟さんの腕の中で眠り込んでた。
1週間ずっと眠りが浅くて、ほぼ不眠に近い状態だったせいだ。


「朝食の時間です」という声に気づいて目覚めた。
起き上がってみると、そこには髪の毛が乱れたままの轟さんがいて……



「おはよう」


照れくさそうな顔をするから、こっちまで照れくさくなってしまった。


「お、おは…よう……」


吃りグセはやっぱり治らない。


「可愛い」


裸のまま抱き付かれてキスをする。


「ちょ、ちょっと…」


あ、朝ごはんの時間だよねぇ?


「今日、日曜だったな」

「う…うん……」


スマホを手に確認する。


「だったらこのまま居ようか」

「へっ?」

「一日中愛してやる」

「い…いえ…、あの……」


愛されるのは嬉しい。
嬉しいけどやっぱり……


「その前に飯にしよう。ホタルにもエサやらないと」


水替えも朝らしい。


「ケイ」

「は、はい…」


ブラのホックを留めながら振り向いた。
朝日の中に見える上司は垂れてきた前髪を掻き上げた。


「多分、兄貴達が帰ってる。心の準備しとけよ」

「えっ…」


それってつまり、一緒に食事をするってこと…?



「顔合わすの朝くらいだから」


それを聞いてオタオタし始めた。考えてみたら私はメイクも落ちかけたままだ。


< 195 / 209 >

この作品をシェア

pagetop