ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
「あ…ふ、拭かなきゃ…!」


急に我に返ってハンドタオルを取り出した。
いつも私が使ってる普通のチェック柄のやつ。


「いいよ、そのうち乾く」


払い退けられてしまう。



「で、でも…!」


まさか本気で庇ってもらえるとは思ってなかったし、髪の毛とかも濡れてるし。




(んっ…?)


飛沫のかかった髪の毛の先が垂れてる。
ワックスで固められてる髪が垂れると別の人っぽい感じがする。



(この雰囲気、どっかで見たことがあるような……)


気のせいだろうか。
会ったことないんだから気のせいだと思うけど。




……誰かに似てるような気がした。

その後も谷口の頭を見るたびにそんな気がしてしまった。








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