ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
「今日一番いい顔してる。可愛い」


あああ、あんた、臆面もなくよくそういう事を………


「……っ!」


ダメだ。今、反論すると吃りそうで言えない!


(もういい。スルーしちゃえ)


恥ずかしくなってよそをに目を向けた。
そのうち水族館に併設された駐車場に着き、車を止めて外へ出た。



「うわぁ…」


昼間見た観覧車がキレイに光ってる。

青にピンクにミドリにイエロー。
交互に変わったかと思えばミックスされて光ったりする。

遊歩道沿いに植えられた街路樹もライトアップされていて、まるでクリスマスみたいな雰囲気。

その中を谷口と二人で歩いた。

公園のような広場が見えてきて、その入り口の正面にあるのが観覧車。

それから左手の奥に、クルクルと音楽をかけながら回ってる遊具があって………




「「メリーゴーランド!!」」


「えっ!?」

「なんだ!?」


二人してハモったよね。


もしかしてーーー


「谷口さんてメリーゴーランド好きなの?」


「そういうホタルもか?」


二人して見つめ合った。
そのうち可笑しくなってきて、二人でケラケラ笑った。


「私、あのクルクル回転するのが面白くて、子供の頃よく乗ってたの!」

「俺もあれに乗ると乗馬した気分になれて好きでさ」


初めて意気投合した。
しかも、遊園地の遊具で。



「乗るか?」


谷口が手を広げる。


「うんっ!勿論!」


ぎゅっと手を握った。




一緒に走りだした。

光に満ち溢れた夢の国へ向かって。



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