ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
カチャ…と検品課のドアを開けて中へ入った。
ポスン…と椅子に腰かけ、目の前にある商品に手を伸ばす。
この会社の説明会に参加した時、『玩具は誰もが手にできる物でなければならない』という会社のモットーに賛同した。
叔父さんがいるから…とか、部長をしてるから大丈夫…とか、そういう気持ちではなく。
『誰にでも手にできる玩具を扱ってみたいと思いました。それを使って遊ぶ人達の顔を、想像できたらいいなと思っています』
辿々しくではあったけど、吃りながらもそれを伝えた。
あの時、目の前にいた試験官たちは皆、苦笑していたようにしか見えなかったけど。
……採用通知が届いた時は嬉しかった。
配属された部署に少しガッカリしたけど、念願の玩具を扱えることを喜んだ。
(しっかり検品して安全な物を届けよう!)
あの頃と今、その気持ちに変わりはない。
副社長が誰だろうと私の仕事に対する思いは同じ。
……ただ、谷口が副社長だとしたら自信がなくなる。
アガリ症で吃りグセのある私は、真綾のようにはなれない。
彼女だと思われても相応しくない。
どうせ、またフラれる。
(ダメだ。泣くな、私……)
こんな決定してもないことで弱気になるな。
持ち堪えてガマンして。
グッと唇を噛んだ。
また下唇の下が赤くなるな…と思いながらも必死に検品作業を続けた。
ポスン…と椅子に腰かけ、目の前にある商品に手を伸ばす。
この会社の説明会に参加した時、『玩具は誰もが手にできる物でなければならない』という会社のモットーに賛同した。
叔父さんがいるから…とか、部長をしてるから大丈夫…とか、そういう気持ちではなく。
『誰にでも手にできる玩具を扱ってみたいと思いました。それを使って遊ぶ人達の顔を、想像できたらいいなと思っています』
辿々しくではあったけど、吃りながらもそれを伝えた。
あの時、目の前にいた試験官たちは皆、苦笑していたようにしか見えなかったけど。
……採用通知が届いた時は嬉しかった。
配属された部署に少しガッカリしたけど、念願の玩具を扱えることを喜んだ。
(しっかり検品して安全な物を届けよう!)
あの頃と今、その気持ちに変わりはない。
副社長が誰だろうと私の仕事に対する思いは同じ。
……ただ、谷口が副社長だとしたら自信がなくなる。
アガリ症で吃りグセのある私は、真綾のようにはなれない。
彼女だと思われても相応しくない。
どうせ、またフラれる。
(ダメだ。泣くな、私……)
こんな決定してもないことで弱気になるな。
持ち堪えてガマンして。
グッと唇を噛んだ。
また下唇の下が赤くなるな…と思いながらも必死に検品作業を続けた。