ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
「琉金だな」
金魚の種類をさり気なく口にした。
「詳しいのね」
飼ってるから?とは言えない。
「そう言えばホタルの格好…」
何を思ったのか、急にこっちを見て笑った。
「まるで金魚っぽい色合いだな。黒に朱色にシルバーで……」
耳元にぶら下げたシルバーリングのイヤリングに触れる。
ドキン…と胸がときめく。
その格好のままで、私に近付かないで欲しい。
「キャリコ…」
ビクン!と胸が疼いた。
「な、何それ?」
辛うじて表に出さずに問う。
微かな笑みを浮かべて、彼が自慢話のように語った。
「金魚の種類。赤と黒と浅葱の三色が混ざったやつ」
副社長が飼ってる金魚がそれだと聞いた。
谷口が彼だとして、言ってるのは自分のペットのことかーー
「今日のホタルはそれと同じ色合いみたいだな。そう言えばあの夏祭りの日……」
ドキン、と胸が鳴った。
話しだそうとする彼を思わずじっと見つめた。
「ホタルが必死になって追ってた金魚がいたろ。あれがそれだ」
珍しい種類だと思って狙いを付けた魚。
掬えなかったけど今でも覚えてる。
「そ…そう……」
さっきから心臓に悪過ぎる。
谷口の言葉はトゲのように胸の奥に突き刺さってばかりいる。
「あの金魚な、店に戻ったら掬われた後でいなかった」
「えっ……」
「小学生くらいの子が持ち帰ったらしい」
「な、なんだ。そうなの……」
金魚の種類をさり気なく口にした。
「詳しいのね」
飼ってるから?とは言えない。
「そう言えばホタルの格好…」
何を思ったのか、急にこっちを見て笑った。
「まるで金魚っぽい色合いだな。黒に朱色にシルバーで……」
耳元にぶら下げたシルバーリングのイヤリングに触れる。
ドキン…と胸がときめく。
その格好のままで、私に近付かないで欲しい。
「キャリコ…」
ビクン!と胸が疼いた。
「な、何それ?」
辛うじて表に出さずに問う。
微かな笑みを浮かべて、彼が自慢話のように語った。
「金魚の種類。赤と黒と浅葱の三色が混ざったやつ」
副社長が飼ってる金魚がそれだと聞いた。
谷口が彼だとして、言ってるのは自分のペットのことかーー
「今日のホタルはそれと同じ色合いみたいだな。そう言えばあの夏祭りの日……」
ドキン、と胸が鳴った。
話しだそうとする彼を思わずじっと見つめた。
「ホタルが必死になって追ってた金魚がいたろ。あれがそれだ」
珍しい種類だと思って狙いを付けた魚。
掬えなかったけど今でも覚えてる。
「そ…そう……」
さっきから心臓に悪過ぎる。
谷口の言葉はトゲのように胸の奥に突き刺さってばかりいる。
「あの金魚な、店に戻ったら掬われた後でいなかった」
「えっ……」
「小学生くらいの子が持ち帰ったらしい」
「な、なんだ。そうなの……」