ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
シェイクをストローで吸い込んだ。
バニラの風味が口の中に溶けていく。


「ヤダ、ヤバい人なんじゃない!?」


聖の言葉に顔が引きつった。



「それはないと思うけど…」


副社長の可能性があるとは言えなかった。
真綾の前で話してしまえば、何もかもがそこで終わってしまいそうな気がしてーー。



「どうしたいの、蛍は」


答えを聞き出そうとする真綾。


二人の顔を見つめた。
ゴクン…とシェイクの甘味を飲み込んで、思いきって打ち明けた。


「来週末にある水天宮祭に誘われたの。そこで自分らしい浴衣を着て彼に会おうと思う」


郁也の時のように派手な浴衣は着ない。
濃いメイクもしないで、いつも通りの自分らしいメイクでいく。


「ドン引きされるかもしれないんだけど……」


仮装した自分しか知らない谷口。
ホントの私を見て、何だ…と呆れることだろう。


「それでも、もうらしくない格好で会うのはイヤなの。仮装したピエロみたいで悲しくなるから」


谷口がどんな仕事をしてる人でも、自分に胸を張って会いたい。
アガリ症が出て吃っても、それでも彼と話がしたい。



「…好きなんだね」


真綾の言葉に頷いた。


「ふぅん。なるほど」


聖が納得してる。


「それじゃあ、協力しないとダメね」


真綾が聖を見た。


「そうね。これは一大事だもん」


ニヤついた顔で応じる。


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