いつもそれは突然で。
最終章

美しいものの終わりはいつも儚くて。

翌日私はいつもより30分ほど遅く家を出た。

いろいろ準備してたら少し遅くなってしまった。
一人での通学はやっぱりどこかつまんない。

でも私の心はいつもよりうきうきしていた。

今日夢に見た先輩の隣をいつも毎年見てきた
あのステージで見れるかと思ったら本当に夢のようで。

夏の風が今日は心地よく思える。

ちょっと前に切ろうと思ってた髪の毛も伸ばしててよかったって思った。

少し動揺もしている。
だって…私を選んでくれるということは…先輩もきっと私のことが好きだって言うことだと思うから。

でも無理にこれ以上の関係に進めなくたっていい。
だって先輩の隣で笑っていられれば私はそれで幸せやから。

気が付いたら私はもう学校の校門の前まで来ていた。
自転車置き場先輩の自転車を探した。

そしたらちょうど右隣が開いてたから私はそこに自転車を止めた。

いつものように靴を履き替えてトントンってして。

ふとケータイが気になって確認してみたら今までにないくらいの件数のメッセージが来ていた。

最後のメッセージに

「お前なら大丈夫だ」

って。
私はなんだか照れくさくてケータイを閉じて3年生の教室に向かった。

廊下の壁には模造紙で作られた模造紙が大きく張り出されていた。
そこには確かに「日向狐夏」って書かれていた。

見とれる先輩の名前少し私はボーっとしていた。

あれからみかちんからたくさん連絡が来るようになった。
私が先輩とご飯を食べたカフェで1日デートをしたらしい。

なんでだろう。
まだ先輩と仲直りしたことを言いだせなくってみかちんのなかではまだ私は先輩のことを嫌っていることになっているらしい。

いろんなことみかちんにアドバイスしてるのは私のほうなのに。
だんだんみかちんと先輩の距離が近づいていくことに沈んでいく私がいる。

……わけわかんによね。

「会いたい」

そんな心の声が自然と溢れる。
泣いちゃだめだって自分に言い聞かせて先輩のクラスまで向かった。

泣いてちゃだめだ。
今日は私が先輩の隣に立つのに。

こんなにくじけてちゃだめだ。

模造紙にはエントリーした男の人の名前だけが書きだされていた。
その中には秀先輩の名前はなかったけどほかの先輩の名前をいくつか見つけた。
ほかのクラスで先輩と中いい人はエントリーしていた。

「おはようございまーす」

「澪ちゃんおはよ!」

いつもよりハイテンションな秀先輩この元気よさ日向先輩に似てる。

私は美沙先輩の隣に座った。
そしたら美沙先輩がお弁当を作ってくれた。

サンドイッチのお弁当。
すごいおいしくって。

私の不安も美沙先輩のお弁当のおかげで少し紛れた気がした。

「今日はもちろん日向の隣歩くんだよな!」

秀先輩のそんな言葉にむせる。
久しぶりに体温が急上昇していく。

「あ、澪ちゃんかお真っ赤」

みんながそうやっていうんやもん。
恥ずかしくて照れてでもなんか嬉しくてたまらない。

「もちろん日向のところが1番に決まってるやろう」

「いや……」

そんな自信どこにもない。

「じゃぁ澪ちゃん着替えに行こうか」

そういって私たちは女子更衣室に移動した。
私は赤色系統がいいって言ったのに美沙先輩がたまには違う色をって白ベースに淡い水色の綺麗な紫陽花の浴衣を選んでくれた。

私はいままで青色何て身につけたことがない。

「よしできた!」

そう言って美沙先輩は写真を撮ってくれた。

「ほら、似合ってるやろう。」

長く伸びた髪。
そこに少し照れくさそうに映っている私。
いままで青色とか寒色は身に着けたことがなかったけど確かに似合ってなくもない。

「すごい」

私は自分自身に少し見とれていた。

「澪ちゃん」

美沙先輩の声にハッとする。

「ほら、この下駄はいてみて」

私は美沙先輩に言われた通り履いてみた。

「どうですか?」

「意外と秀見る目あるんやなぁ」

美沙先輩も納得したような顔をしていた。

「じゃぁ髪の毛もいじってもらわなあかんなぁ!」

私は更衣室を出て美沙先輩に手を引かれて教室まで戻った。
浴衣なんて小学校以来着たことなんてなくっていまいち慣れない変わった自分の姿に少し戸惑っていた。

「みんな見て!」

美沙先輩の声に先輩方がこっちに目を移す。

「おー!!!!」

黄色い悲鳴にまた照れる私がいた。

「綺麗」

そういったのは秀先輩やった。

「いつもかわいい後輩や思ってたけど綺麗やな」

って頭を撫でてくれた。
髪の毛を結ってもらってる間私は先輩の質問攻めに答えていた

先輩の好きなところとか…いろいろ。

そういえば着替えてる間あの痣を見なかった私は特に気には書けなかったけど少し不思議に思った。


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