竜宮城に帰りたい。




なんだろう…

私、何か不自然だった?


っやめやめ!

気にしてたらせっかくのお祭りが楽しくなくなっちゃう。


私は自分の頬を打ったつもりで気持ちを切り替えた。







お祭り会場の近くに着くと、
少し暗かった気持ちも明るい雰囲気に飲み込まれた。


「あ、瑞希ちゃんたちだ…」

「お、ホンマや。」


屋台のスタート地点付近に瑞希ちゃん、慎くん、礼二くんがいた。


3人と合流し、屋台を両脇に歩き始める。


なんか…

瑞希ちゃんの顔もうまく見れない。




「おぉ、夕方からイベントやるんやの。」

歩いている途中のポスターに目を留めた祐くんが、そう教えてくれた。


「ダンスだってー、おねえちゃん。」
「ゆかり、見に行く?」


「躍りやこし興味ないわ。」


盛り上がる私たちを横に、
晴がそう言い切った。



晴がそう言うだけで、
周りはすんなりそれを受け入れる。


「晴、不機嫌や…」


唯一瑞希ちゃんが不安そうにそう言うと、

晴は冷たい視線を送った。



「文句あるん」



それを聞いた瑞希ちゃんが泣きそうになったのを見た瞬間、
私は晴の服を掴んだ。





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