愛と音の花束を
5.重なる呼吸

1


演奏会が終われば、また次の演奏会への準備。
ただ、ソリストをこなした三神君の負担を考慮して、ボウイング決めの日程をいつもより遅くし、ゆったりしたスタートとなった。



そうして、初合奏の日。

間宮暁が、やってきた。

私は知らされていなかった。

団長には連絡が行っていたらしい。

「ごめん、てっきり結花ちゃんには本人から直接連絡が行ってるものだと思ってさ」

大部屋の隅で、団長と三神君と私の3人で話し合い。

団長がどうしてそう思ったかは、もはや面倒なので、きかない。
あれだ。定演の後のあれで誤解してる人が多々いるらしいのだ。ヨリを戻したとかそもそも別れずに帰国を待ってたとか。身から出た錆。いちいち誤解を解いて回るわけにもいかない。噂はそのうち消えるだろう。

「復帰ということで、オーディションはなくていいんじゃん?」と団長。

「ですが、パート分けのためにレベルは確かめさせてもらいたいので……」
三神君はそう言いながら、音出しをしている暁を見やった。


< 251 / 340 >

この作品をシェア

pagetop