愛と音の花束を
「うわ、俺って幸せ者」

椎名が感動したようにつぶやいた。

「……ねえ、結花」

「何?」

「こっちが結花って呼んだら、結花は?」

「……はい、何でしょうか」

「もー。名前呼んでよ。そしたらキスしてあげる」

「……呼ばなかったら?」

「それでもするけど」

「……椎名那智さん」

「こら」

「…………那智」

彼はものすごく嬉しそうに微笑んだ。

それを見て、ああ、この男が大好きだと思い知る。
そして、素直にそう思えることにとてつもない幸せを感じた。

同時に、私の言葉でそんな風に反応してくれるのは、愛されてるってことで。
これもまた、とてつもなく幸せ。

たぶんお互いに、大好きの気持ちを伝えたくて。

自然に顔を寄せて。

唇を重ねた。

柔らかくて、あたたかくて、
すごくすごく気持ちがよくて、
唇が触れ合ったところから、身体がじわりと溶けていくような感触に、

ああ、この人だ、

と思った。

この先何があっても、
どうなっても、
私は一生この人を愛するだろう。

遠回りした時間を埋めるかのように、
優しく、丁寧に、
唇が触れ合うだけの浅いキスを繰り返す。

この幸せな感触を一生覚えていられるように、心に刻みつけながら。








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