桜の花びら、舞い降りた
明日は圭吾さんと別れなくちゃならない。
そう思うと、急に胸が苦しくなった。
私は足を地面についてブランコを止める。
「どうしかした?」
圭吾さんもブランコを止め、座ったまま私の顔を覗き込んだものだから、合った目を咄嗟に逸らした。
「……あ、ううん。手が冷たいなと思って」
そう言って誤魔化す。
手を口元に持っていき、ハァと息をかけた。
実際に指先まで真っ赤で、じんじんするほどだ。
頬に感じる圭吾さんの視線。
でも、私はそちらを向くことができずにいた。
今、圭吾さんの目を見たら、きっと泣いてしまう。
泣いて圭吾さんを困らせてしまう。
不意に彼がブランコから降りて私の前に立った。
うつむいている私に手を差し伸べると、その冷えた手を包み込んだ。
引っ込めるという脳の指令は、手まで行きつかなかった。
「……圭吾さんの手も冷たいね」
動じていないふりを装う。