桜の花びら、舞い降りた
帰ってなんか来なければよかった。
「ちょっと亜子!? どこへ行くつもり!?」
靴を履いて家を飛び出した。
雪はさっきよりも更に激しくなっていた。
深くなった雪を踏みしめながら走る。
お母さんが追いついたら連れ戻されると思い、必死に足を前に出した。
ところがそんな心配は無用だった。
お母さんが追いかけてくる様子はまったくなかったのだ。
つまり、本気で心配しているわけではないということ。
口先だけなのだ。
走るのをやめて歩くことにした。
ほんの数分前に私がつけた足跡には雪がずいぶんと積もり、もう少しで消えようとしていた。