桜の花びら、舞い降りた
その言葉に安心した。
一瞬、元の時代へ帰ってしまったのかと思ったからだ。
雪は止んでいるとはいえ、昨日振った影響で森の中は深い雪に覆われている。
道に迷ったりしないだろうか。
つい心配になる。
圭吾さんにとっては、まったく未知の世界なのだから。
「心配しなくても、すぐ帰ってくるよ」
俊さんは絵筆を置き、私の心を読み取ったように言った。
そしてその言葉の通り、それから数分経った頃、圭吾さんはここへ戻って来た。
「学校帰り?」
ブレザーの制服姿の私を見て微笑んだあと、香織を見つけて軽く会釈した。
「亜子の友達の香織です。こんにちは」
「こんにちは」
圭吾さんが香織に挨拶を返す。
「どこに行ってたの?」
「あぁ……ちょっと人探し」
私の質問に目を逸らしながら答えた。
それはもしかしたら……。