きみのおと


「じゃあまた明日~」

「またね」

「部活しんどー」




次の日の放課後。
帰り支度をする人や部活に向かう人。
賑やかな教室。

私は鞄に教科書を詰め込んで急いで千秋くんのもとに向かう。



「千秋くん、一緒に帰ろう!」

「あ、しぃちゃん・・・。うん。帰ろう」



千秋くんは優しく微笑んで頷いてくれた。
ホッとする。
よかった、断られなかった。




「あ、あのね、千秋くん」

「・・・うん?」




心臓が、バクバクとうるさい。
ただ一言、ちょっと勇気を出すだけ。




「今日は、二人で帰りたい」




それがこんなにも緊張するなんて。





「え・・・?」

「ひ、久しぶりにメロンパン食べに行かない?二人で!」

「二人で?柊二くんたちは・・・」

「今日は二人!前、柊二くんと二人でも行ってたでしょ?だから、今日は私と千秋くんで」



心臓が煩い。
変な事口走ってないかな。
頭が回らない。



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