きみのおと
複雑な手
僕は、こんなにも欲深い人間だったのか。
何度も、しぃちゃんとのキスを思い出しそう思う。
恋人になった途端に、これまで以上に愛しくなって。
触れたくて、触れたくて。
その衝動が抑えられない。
全ては、しぃちゃんが可愛いのがいけないんだ。
「はあー」
「お前、そんなキャラだったか?」
「へ?」
柊二くんが、よく行ってるというパン屋に一緒に向かっていたところだった。
不意にかかられた言葉に僕はキョトンと柊二くんを見た。
「キャラって?なんのこと?」
「・・・恋煩いか」
「え、え、ええ!?」
呆れ顔の柊二くんに僕は戸惑う。
なんの話?
「お前ってもっと大人しくて控えめなのかと思ってたけど、案外やるやつなんだな」
「え・・・?」
「お前ら、なんかしただろ。まぁ軽いところキスくらいか?」
「え!?な、なんで!!」
なんでバレてるの!?