朝焼け
雄の気持ち
話は少し戻り、語りべ交代し、俺、雄になります。

彼女と出会ったのは俺が19歳の7月だった。


親友の晃の家に行った時だった。

そこには晃の彼女が居て、晃にプリクラを見せていた。

俺は由美と一緒に写っていた子に目が釘付けになった。


俺はさり気なく、
「由美ちゃんと一緒に写ってる子、誰?」

と聞いてみた。


晃が食い付く。
「やっと雄が女の子に興味を持ったのか!!
俺は安心したよ!」

「えっ??そうなの?」
と由美も食い付く。


やっぱり晃にはお見通しか。
もう腹割って話そう。


「うん、この子凄い可愛い!!」



晃と由美が顔を見合わせる。
そして、俺に背中を向け、

「雄君なら…人見知りしないみたいだし…」

とかひそひそと言っている。

残念ながら部屋が狭いので丸聞こえだ。

晃がこちらを向き、俺の肩を叩く。



「由美からお許しが出た!!
何とかして薫ちゃんを紹介してやる!!!!」




…意味を理解するまでに時間がかかった。




「…マジで??!」


「え?つーかこの子、こんなに可愛いのに彼氏居ないの??」


「そうなんだよ!!」


と、2人が声を合わせた。


「人見知りが激しくて、その癖打ち解けたら何故か友達止まりにされちゃってね…」



と、遠い目で由美が言う。


親友と言う肩書きを名乗る位だ、彼女に付いていろいろ知っているんだろう。




「でも俺じゃダメでしょ…。
こんな可愛い子、無理だよ…」


「大丈夫!!自分に自信を持って!」

と由美。


「そうだよ、俺達が強力サポートするしな!」




…こうして、薫ちゃんとの出会いを2人がプロデュースしてくれたのだ。
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