朝焼け
夏休みに入った。

薫に会いたいのに。

彼女のバイト先は遊園地。

夏休みは忙しいみたいだ。

俺も短期でバイトを始めた。


家の近くのラーメン屋だ。

俺はフランス料理のシェフになりたいけど、家から通える距離にはフランス料理の店は無い。

料理の仕事に携われるだけいいや。



彼女の休憩時間に交わされる短いメールリレー。



薫とのメールは何よりも大切だから


店が暇な時は店の裏でメールをさせてもらう。


彼女からメールが来たらすぐ返せるようにポケットに携帯を忍ばせて。


携帯が震えたら誰からのメールか、店長の目を盗んでチェック。


薫からだったら、店長に断り、店の裏にダッシュ。


走りながらメールを打ち返す。



大体薫からのメールは


「今からやっと休憩だぁ~」

で始まる。


疲れてるだろうに、休憩時間にわざわざ俺にメールを送って来てくれるのが嬉しい。



でも。



何度か遊びに誘ったけど、どうにも休みが合わない。




あぁ…バイトなんてするんじゃ無かった。




いや。
もしかしたら、薫は俺に会いたく無いのかも…



最悪な考えが頭をよぎる。



そんな事は無い。



薫は…忙しいんだ。




疲れてるんだ。


だから、


今、俺に出来るのは



疲れた薫に優しい言葉をかけて


俺が今まで生きて来た中で、



初めて人にかける言葉の全てを

薫に言って。



薫の疲れを少しでも取り除いてあげたい。



俺は薫の中で、どんな位置付けに居ますか?




やっぱりただの
「友達」
かな??



いつか君と

手を繋いだりとかして。

「恋人」

になりたいな。



本当に今まで生きてきた中で


君と会わなくても。



君とメールしてるだけでも。



君との時間が一番大切で幸せだと思える。



これって凄い事だよね。
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