朝焼け
今日は薫と付き合う事になって初めて会う日。




駅のホームで薫を乗せた電車が来るのを待つ。





電車が見えてきた。







…ヤバイ、ヤバイ!!



心臓が破れそうな位ドキドキしてきた!!





あり得ない、止まれ、俺の心臓!!!!





イヤ、止まっちゃダメなんだ、落ち着け!!!





落ち着くんだ、俺!!!!!!!



軽くパニくる俺の落ち着きを待つ前に、
電車がスルスルとホームに入ってくる。





そして。





薫が降りてくる。





思わず





抱き締めたい、





って欲望が渦巻いた。






この腕に君を抱いて。





その柔らかそうな髪に触れたりしたい。






「…速攻?」





晃の言葉がふいに脳裏をよぎる。







っだぁ~!!!!!!





ダメだ!!



落ち着け、俺!




焦って嫌われたらそれっきりだ!




薫と会えなくなる!






…こうして、様々な欲望を無理矢理、抑えつけ、




初デートは無事に終了した。




俺は薫に上着を貸して、



「またね」



と平静を装って



薫を見送った。





…でも、マジで。




小さな手に触れたい。



抱き締めたい。




髪に触れたい。




そんな事ばかり考えてた。




ゴメンね。




こんな奴で。




どうか




嫌われませんように。
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