朝焼け
震える手で、2時間以上かけて考えた言葉をメールに綴る。



直接は怖くて言えない。


メールで精一杯。



「雄君。
私の事、どう思ってくれていますか?
私は、雄君が好きだよ。
彼女として、一緒に居てくれませんか?

もし、ダメだったら友達として一緒に居て下さい。」



精一杯綴った気持ち。



震える指で送信ボタンを押す。




数時間の沈黙。


握り締めた携帯は


まるで


鳴る事を忘れたかの様に

頑なに沈黙を


守っている。



涙が溢れて来た。




「やっぱりダメだよね…」



この恋は



きっと




独りよがりな片思いだったんだ。



雄はただ、優しいだけだったんだ。



自分は勘違い女だ。



苦しい。




胸が痛い。




悲しい。




彼を失う事が?




勘違い女と思い知らされた事が?





とにかく。




なにかが私の心を




痛め付けているのは確かだ…ー。





涙が止まらないよ。






その時だった。



ブーッ、ブーッ。



と、握り締めた携帯が震えた。



マナーモードにしていたのをすっかり忘れていた。



由美かな?


きっと晃から聞いたんだ。


今はそっとしておいて欲しい。



独りよがりな女は独りよがりな気持ちに溺れて泣いていたい。



…でも。


もし雄からだったら?



…私も懲りない奴だ、と思いながらもメールを見る。




「俺が先に言いたかった言葉なのに…。
俺も薫ちゃんの事好き、イヤ、大好きです!!
俺で良ければ、これから、彼氏として、一緒に居て下さい!!!」





涙がまた溢れて来た。



でも
この涙は

「悲しい涙」
じゃない。



大好きな人から
「大好き」


と言われた事による、
「嬉しい涙」だ…ー。
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