狼な彼と赤ずきん
「よほど、ショックを受けているみたいだな。以前、森に連れて行かれた子が帰ってきた時もそうだった」



「以前……?」



そういえば森の住人たちも、以前同じことがあったというようなことを言っていた。



「そう。あれは十年以上前のことだ。父上から聞いたのだが、ちょうど今のお前と同じくらいの歳の少女が森に行ったっきり帰ってこなかったんだ。父上はすぐに騎士団を派遣して、彼女を連れ戻した」



「それって……」



――人間をかくまうと騎士団に攻め込まれることを理解していながら、それでも森の住人たちは私を受け入れ、住処を与えてくれたということ?
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