狼な彼と赤ずきん
彼らの懐の深さに、心がずきずきと痛む。


何も、そこまでして私を守る必要なんてなかったのに。



痛む胸を両手で押さえ、呻く私に構うことなく、アドランは話を続ける。



「俺たちの大勝利だった。汚らわしき者たちは、ほとんど死んだ。だが、手遅れだったんだ。街に帰ってきたその少女は精神を病んで、そのまま自ら命を絶ってしまった……奴らの洗脳が強すぎたんだろう」



アドランがこぶしを握り締めるが、私はその少女が自殺した理由が洗脳などではないとわかる。


優しい森の住人たちがほとんど死に絶えてしまったことが、あまりにショックだったのだろう。


そして恐らく、前回のその戦いのせいで森の人口は十人ほどに減ってしまったのだ。
< 103 / 129 >

この作品をシェア

pagetop