背番号6、最後の青春



第一、平日も休日も看護師さんがいるわけだから、抜け出せるわけがない。

「いつ抜け出すんだよ」

呆れ気味にそう言うと、弘也は少し考えたあとに、

「6月のはじめに、いつもいる厳しい看護師さんがいない日があるんだ。その日にしないか?」

思い切った笑顔でそう提案をしてきた。

…いや、日付も大事だけど、俺が聞きたいのは日付じゃなくて…。

「日付はいいから、時間だよ。いつ抜け出すって言うんだよ」

ため息をつきながらそう言うと、弘也は考えていなかったのか、そうだったと落胆した。

…抜け出したい気持ちもわからなくはない。

なんたって、どんなに足が痛くてもサッカーをやるといって聞かなかった弘也だ。

病室の中でジッとなんてしていられないのだろう。


でも、抜け出す時間なんてないだろう。


そう、思っていた時だった。

「抜け出すなら朝早い時間にすれば?

看護師さんたち集まってるから、ナースステーションだけ避ければ抜け出せるけど」

ふと、俺の背後から声がした。

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