背番号6、最後の青春
人は生きるにあたって損をしたとか悔いのないように生きようとか言う。
だけど人の人生というものにきっと損などというものはない。
損をしたと言って、もしその損を取り除いてしまったなら、その人はその人でなくなってしまうから。
悔いのない人生なんてない。
生きた分、どうあがいても何か一つは後悔をする。
悔いのない人生なんて無茶ぶりだし、損をした人生などそもそも存在しない気がする。
“毎日をただ生きること”、それでいい。だから弘也は何も知らないままで、この時この時を大切にして。
それだけでいい。それだけがいい。幸せな時間に悲しみはいらない。
「真矢先輩は、嬉しそうですね」
菜乃ちゃんがこちらを向いてニコリと笑う。
俺も菜乃ちゃんのような笑顔を浮かべて笑い返しながら、
「弘也が、幸せそうだからな」
そう言った。
別れはすぐで、1時間などというのはあっという間に過ぎ去ってしまった。