連なる恋心


琳夏帰宅。

先輩とのきゅんきゅん帰路を堪能、そして今週末デートの約束できた!
イェイ!
大満足でニヤつきながら、家の門を開け、庭を突っ切って玄関へ。
鍵あいてるから、そのままドアを右に引っ張る。わっ、誰かいるっ!?
「ギャーっ!」
大声をあげつつのけぞる私。
「やめてよレン!ビックリすんじゃん!」
「いや、俺立ってただけだし!ボケっとしてたお前が悪い!」
「あんたが悪い!なんでここに幽霊みたいにいんのよ!」
「別に関係ねえだろ、自販機でバナジュー買ってこようと思って出てきたんだよ!誰が幽霊だ!」
「えっ、バナジュー?欲しい!買って来てよ~」
「自分で行けよ!」
「うるさい!今金欠なのよ!」
「100円もねえのか!?んなわけねえだろ!」
「事情があって今週末までは貯め込むの」
「俺に関係ねえ!自分で行け!」
「だっだって!」
パッシーン!!
『ギャーっ!!』
共に叫んで飛び上がる私とレン。
そして、私とレンの間には、寿美子さん...
オーマイガー。
まさか私の長刀でケンカを仲裁するとは。
驚き、桃の木、さんしょの木!
「レン?琳夏ちゃんに優しくしろって言わなかったか?」
こ、怖いっ!rの発音、舌を巻いてるっ!!
「だって琳夏が──」
パッシーン!!
「ひぇぇ」
「とにかくレン、今日はずっと勉強しなさい。明日から学校始まるんだから。バカにされない程度にやりなさいよ」
「...」
「返事っ!!!!」
「へぇ~い」
トボトボと靴を脱いで階段を上がっていくレン。すまんな、弟よ。私は甘やかされる運命なのだよ。
──寿美子さんは、他人だもんね。
少し胸が締めつけられたけど、事実だ。
お父さんだってレンの事、絶対甘やかすし!
制服の襟が折れてるのに気づいて直した。
そして私は──
バナジューへの未練を引きずりつつ、部屋へ帰った。トホホ...。
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