風便り〜大切なあなたへ〜
「逃げんなよ・・このまま、泣いとけ」
そう守屋くんに言われたけど、守屋くんが好きだと、自覚した自分と、守屋くんの、この行動にびっくりして、もう涙は止まっていた。
「・・・もう、大丈・・夫、だよ?」
言いながら、守屋くんを見上げると、優しい顔をした守屋くんと目が合った。
心臓が、大きく跳ねた。
「・・・もう、泣くなよ?」
「うん・・・ごめんね」
そう言うと、守屋くんは、私を離してくれた。
・・離された体が、淋しく感じた。
私、守屋くんに、抱きしめられてたんだ・・。
あらためて、そう実感した。
私と、守屋くんの間を、風が吹き抜けた。
暖かい風だった。
空が赤く染まった。
私の顔は、夕焼けに染まっていた。
守屋くんの顔も、夕焼けに染まっていた。
「夕焼け、綺麗だね」
「・・そうだな」
二人で呟いた言葉は、温かく、夕焼け空へと、とけていった。
「・・帰るか」
「うん・・・」
本当は、帰りたくなかった。
・・守屋くんと、離れたくなかった。
ずっと、守屋くんと一緒に、いたかった。
二人で、タンポポに、さよならを言った。
今日の、守屋くんの背中は、優しく見えた。