課長の瞳で凍死します ~旅支度編~
 そうだった。
 新婚旅行だ。

 やっと念願の伊勢に行ける。

 真湖はまだベッドから出ないまま、微笑み言った。

「変な感じです。
 課長と新婚旅行に行くなんて」

「……俺以外の奴と行ったら、大問題だろ」

 そうじゃなくてですねっ、と真湖は拳を作り、力説する。

「だって、課長初めて会ったときは、まさか課長と結婚することになるなんて、夢にも思わなかったですからっ」

「初めて会ったときはって、お前、俺と初めて会ったときを覚えているのか」
と雅喜は、胡散臭そうに見て言ってくる。

 えーと……と苦笑いしたあとで、真湖が、
「課長と初めて線路沿いでキスしたときには、まさか課長と結婚することになるとは、夢にも思いませんでした」
と主張を変えると、やめろ、と雅喜が言ってきた。

「恥ずかしいから、口に出して言うのは、やめろ」

「す、すみませんっ」

 怒られるっ? と布団をつかんで身構えたが、雅喜は笑ってこちらを見ていた。

 どきりとしてしまう。
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