嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「……正輝……ココ教えて?」

「ん、ちょっと待って」

「はーい」


正輝は日本史の勉強をしているみたいだ。
ノートに並ぶ沢山の字。
それは全てが綺麗で見やすかった。


「どこ?」

「ココなんだけど……」

「ああ、これはね……」


ピッタリと横にくっついた2つの机。
只でさえ距離が近いのにもっと顔が近くなった。
恥ずかしい気持ちになりながらもキミの説明を聞く。
分かりやすい解説付きで、英語が苦手な私にも理解が出来る。


「なるほど!ありがとう!」

「ん、頑張って」


大きな手のひらが頭の上にのる。
クシャリとひと撫でをして離れていく手。
それだけなのに、なんかやる気が出てきた。
気合いを入れて教科書を読む。


「……」

「ん?」


視線を感じて横を見ればキミは目を細めながら私を見ていた。


「なに?」

「別に?やっと集中してきたなって」

「……正輝のお蔭だよ」

「ばーか」


にっと笑い合ってお互いの勉強へと取り掛かる。
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