おためしシンデレラ


三村の目がすいっと細められ、アイスクリームを持つ莉子の手を掴み再度莉子の口につけた。

しょうが無いので莉子が一口舐める。

「莉子、口元にクリームがついてる」

「はい?」

両手を握られた状態で三村が莉子の方に屈んで顔を近付けてきて、唇の脇をペロっと舐められた。

2人の横をちょうど観光客かおばちゃんの集団が通る。

「あらー、若い人はいいわねぇ」

冷やかしを受けながら莉子がフリーズした。

三村がドヤ顔で見下ろし、3拍くらい遅れて莉子がこれ以上ないくらい真っ赤になる。

「な・・・・・しゃちょ・・・・・!」

「ふん、オレに対抗するには経験不足やな」

手を引っ張られまた歩き出したけれど莉子の思考は固まったままで、その後連れて行かれた折角の神戸牛のランチの味も覚えていなかった。
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