ただ、愛してる。
ポタッと私の目から涙が落ちた。

怖かった…

自業自得だとしても、初めて男の力というものを知って。
そして恐怖を感じた。


「やだ…手が震えてる」


もし、あの人が助けてくれなかったら、私はどうなっていたんだろ…


ジンジンと痛む腕を反対の手で庇うように覆いながら、私はビルの建物にもたれかかった。

多くの人が行き交う街中。

誰1人、私を見ない。

そんな中、あの人は助けてくれた。


『学習能力』


さっき言われたあの言葉は、今の私に誰もが言う言葉だろう。

今まで男に告白されて、適当に付き合って、適当に別れてきた。
その結果がこれだ。


目からまた涙が零れたその時、スッと目の前に濡れた青いハンカチが差し出された。


「冷やせ」


この声に聞き覚えのあった私は、すぐに顔を上げた。


「え、何で…」

「?その腕を冷やすのは当たり前だろ」

「そうじゃなくて…」


戻ってきてくれたの…?

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