恋する姫
―バキッ
手首の感触がきえた。
私の目の前で確かに何かが起こっている。
でもわかんない。
ぼやけてわかんない。
気づくと誰かの腕の中にいた。
温かくて安心した。
「聖羅・・・」
「怖かったよ・・・」
抱きしめる手に力を入れた。
「うん」
怖かったよ・・・
晴貴。
「もう大丈夫」
「うん。お父様に電話してなかった??」
少し顔を上げ上目遣いで晴貴を見た。
「あぁ。大丈夫だ」
よかった・・・。