堕天使と呼ばれる女
あまりの爆弾発言に、聖羅は絶句した。


聖羅は、確かに組織から追われる立場ではあるが、組織に対して直接、攻撃を加えたりしないから、組織側も躍起になって聖羅を殺しに来ないという実状がある。

和也は、その暗黙のルールをぶっ壊してくれと言いに来たってわけだ。


「あんたの願望に、私が命を賭けてまで協力してやる義理はどこにも無い!」


「確かに無い。

 俺には7つ下の妹がいて、組織でモルモットになっている。
 元々、体が弱いんだ…
 俺はあいつを助けたい…」



しばらく、沈黙が続いた。


聖羅は、コーヒーを一口飲んで考える。


つまり、助け出すだけでは、組織に追われてまともな生活は送れない…

体が弱いなら、尚更だ。
組織は国家レベル。組織を裏切った者は、病院にかかる事すら出来なくなる。


だから、組織そのものを潰したいってワケか…


「聖羅だって、組織を憎んでいるだろう?」


「憎んだって、そこからは何も生まれない。
 そういう風に考えるのは、もう止めたの。

 和也から聞いた事は、口外しない。
 だから、悪いけど他を当たってちょうだい。」


「じゃあ、どうして聖羅は人助けをするんだ?」

聖羅は嘲笑しながら返した。

「人助けなんてした覚えは無いわ。」


「今日は、自殺しようとしたオッサンを助けたよな?」
< 11 / 72 >

この作品をシェア

pagetop