堕天使と呼ばれる女
「一定の条件?」


「ああ…

 だから、問題になるどころか、感謝されるらしいな…」


「感謝!?」

聖羅は思わず上擦った声を出した。


「一定の条件とは、“生命の危機に瀕している事”。

 そこから導かれる結果は…
 命が助かれば万々歳で言うこと無し…
 例え死んだとしても、開発途中の新薬を投与するという不法行為までして、子どもを救おうとしてくれた事に感謝する…

 どちらにしても、保護者から“感謝”意外の結論は出ないってわけなんだよなぁ。」


「自分たちの悪事を、子を想う親心でカムフラージュしてるってわけね。」


「その通りだ。」


「で、実際にあんたはどうしたいわけ?」


「とりあえず、止めさせたいに決まってるだろ!?」


「やっぱり、策は無いわけね…」


あからさまにため息をつく聖羅に、和也は若干の怒りを覚えはしたものの、確かに情報収集で精一杯だった和也は、病院へのアプローチの手段さえ考えていなかった。


しばらくの沈黙の後、聖羅によって静寂は破られた。

「1つ聞きたい事がある。

 その情報はどこでどうやって集めたの!?」


「そりゃあ、組織内の資料とかにハックしたり、人から聞いたりだけど…」


「はぁ…やっぱり。
 絶望的だわ…」
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