堕天使と呼ばれる女
「聖羅!ちょっと待てよ!!
 ここって何…」

「あら、聖羅ちゃんじゃない。
 久しぶりね!いらっしゃい。」

「どうも、ご無沙汰しています。
 コーヒー2つお願い出来ますか?」

「もちろん!

 ところで、ご一緒の方は彼氏かしら?」

「まっさかぁ!!やめてくださいよ、スミレさん。」


聖羅が、あまりにスミレというオーナーらしき女性と楽しそうに話すものだから、和也の抗議も違和感も、全てその会話に飲み込まれてしまった。

聖羅がカウンター席に腰を下ろしたのを見て、和也もその隣に座ると、タイミングよくコーヒーが出される。

「はい、どうぞ。」
にこりと笑顔でコーヒーを出すスミレという女性は、年齢は30代半ばくらい、明るく元気なお姉さんという印象だ。

「…どうも…」

そう返すのは、未だぎこちない和也。

「何を警戒してんのよ!!
 まさか、組織に突き出されるんじゃないかとか、まだ私を疑ってるの!?」

「まあまあ。
 聖羅ちゃん、彼にこのお店の事、説明しないで連れてきたでしょ。
 お店に入ったら、ビックリするに決まってるんだから、事前に説明しなきゃダメじゃない。」

「はぁい。」

聖羅にしては、珍しく素直な反応だ。
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