堕天使と呼ばれる女
「早く言えよ!」
ボギッ!!
「うぐっ!」
ジャックが言うや、人差し指がクイッと動いたかと思った途端、和也は自分の体内に大きな違和感を感じた。
何かが折れた音がしたのだ…
「ジャック!やめなさい!
気が短いにも程があるわよ!」
肋骨を1本折られたらしい…
「さあ!和也くん!またやられる前に、サッサとしゃべりなさい!」
「あや…げほっ…あ、あやせ…」
[…まさか…]
「あや…せ…そうごう…」
「…病院か?」
脂汗を流しながら、コクンと和也はハッキリ頷いた。
「わぉ!!
それ本気!?
私も動かなきゃ!」
[俺も行ってくる…]
あっという間に、クィーンとエースが消えた。
「クィーンのヤツ、お前の肋骨のこと、すっかり忘れていったな~
はっはっは!!」
ジャックの楽しげな声が、たまり場に響く…
血の気がスーッと引いていく感覚がした和也は、腹にグッと力を入れる。
一時的に、患部に流れる血流を少なくする事で、気絶するのを辛うじて防ぐのだ…
「へ~。
そういう芸当は多少出来るんだなぁ…」
「もう…もう1つ、調べてもらいたい事があるんだ…」
ジャックに噛み付いた態度を取っても、意味の無い事が分かった和也は、途切れ途切れにそう言った…