渡せなかったラブレター
距離
三年生になって
とうとう
二人は違うクラスに
なってしまった

あたしは
恐れていたことが
現実になってしまったと
思った


「違うクラスになってもたな」

「うん」

「でも一緒に帰ろな」

「うん」

「寂しくないって!」

「寂しいわ」


だだっ子みたいに
あたしは
悲しがって
章弘を困らせた

それでも
章弘は
優しかった

新しい教室
新しいクラスメイト
新しい先生

うれしいことなんて
何もなかった

ただ
おんなじ教室に
章弘がいなかった

それでも
日々が過ぎれば
側に来る子も
でてきた

そして
今までのあたしを知らない
転校生が来て
あたしにも
友達と呼べる子が
できた


最初のうちは
一緒に帰っていたのに
だんだん
章弘とは
一緒に帰らなくなった

章弘も
誰かと一緒にいるところを
よく見かけた

きっと
章弘にも
友達ができたんだろう

いいことなんだ

いいことなんだけど
どうしても
寂しくて
どうすることもできない
苛立ちがあった





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