渡せなかったラブレター
何が不満なのか
何が足りないのか
章弘はいつでも
イライラしてた


何に腹を立ててるの?
なんでいっつもそんな風なの?


聞いてみたいことは
いっぱいあった


まともに話が成り立ったのは
いつのことだったかな?


「掃除せんの?」

「何でせんなんの?」

「なんでやろな?」


そんなことを言ってたっけ


とにかく二人は
かわい気のない子供だった


いつからか
よくないことばかり気が合って
二人でいることが多くなった


黒板の下にかけてある
大きな分度器と三角定規で
戦闘ごっこをしたり


花壇の花を踏んで
つぶしてしまったり


視聴覚室に入り込んで
テレビを見ていたり


そのたびに見つかって
怒られたっけ


「お前のせいやからな!」

「なんでよ!あんたがやろって
言い出したんやんか!」

「人のせいにすんなや!」

「西田君!前原さん!
静かにしなさい!!」


思い出すと
ほんとにくだらない


でも
あたしたち二人にとって
自分を分かってくれる人は
お互いだけだったんだ


暴れるのも
いたずらするのも

ほんとは
寂しかったから








< 3 / 65 >

この作品をシェア

pagetop