渡せなかったラブレター
好きになること
背が高くて
すらっとしていて
どんな時でも
堂々としている章弘は
あたしの目には
かっこよく映っていた

そして

サッカーとバスケが
抜群にうまかった


教室ではいつも
おもしろくない顔をしているのに
体育の授業だけは
なんだかキラキラしてた


水を得た魚


あたしは章弘の笑った顔が
好きだった


章弘はめったに
笑わない


いつ見ても
『どこからでもかかってこい』
といわんばかりの
顔をしていた


そんな章弘の
たまに見せる
はにかんだような笑顔が
あたしはほんとに
好きだった


自分にしか見せない
かわいい優しいところも
好きだった


その頃ハヤってた
少年アニメがあって
あたしはその脇役が好きだった

「やっぱかっこええなー」

「なんで主人公よりそっちがええん?」

「分からんけどかっこええ」

「ふーん、変やわ」


そんな話をちょこっとした
何日か後


「帰ろ」


今までそんなこと
ゆったこともないのに
一緒に帰ろうって誘われた


「別にええけど」


あたしはかわいくない
返事をした記憶がある

















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