俺たちの妹・3
「………………そして二人は幸せに暮らしました。おしまい」

「みぃお姉ちゃんありがとう」

「いいえ。また来るね」

そう言いながら絵本を片付けて鞄に入れる。



葵に見つからないようにそっと帰ろうっと。

「たにぐちせんせい。えほんおわったよー」

「…………え」

舞ちゃんが律儀に葵に終わったことを報告していた。

「舞ちゃん、教えてくれてありがとう。先生はみぃお姉ちゃんとお話があるから、みんなで遊べるかな?」

「「「はぁい」」」

子どもの無邪気さが今は辛い。


そっと手を引かれて、近くの診察室に連れていかれた。

パタン

ドアも閉まり、診察室で二人きりだ。

「…………みぃ。どういうつもりかな?」

いつもより葵の低い声にビクッと体が揺れる。

「えっと…」

「司さんに許可まだ貰ってないよな?それなのに勝手なことしちゃ、ダメだろ?」

「だって……」

「だってじゃない。また入院したいの?」

葵の言うことは最もだけど、私の言い分も聞いてくれたっていいじゃん。  


だんだん、悔しくて目に涙か溜まる。

「泣いてもだめ。今回はみぃが悪いよ」


「………………そんなこと、分かってるっ‼‼」


「分かってるんだったら、尚更ダメじゃん。ボランティアも仕事も許可が下りてからだって言われてたでしょ?」



私だって早く復帰したかったんだもん…………

子ども達の笑顔見たかったんだもん…………

待ってても許可なんてすぐに下りないのわかってたから。

少しだけのつもりだったんだもん。
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