空を祈る紙ヒコーキ

「何かあった?」

「涼より先に目が覚めたから、何か情報見つかるかもと思って生徒会長がフォローしてる人やフォロワーのツイートもチェックしてたら、その間に生徒会長のアカウントへこんなのが来てて……。見て!」

 愛大のスマホには空のツイッターアカウントが表示されていた。空宛てに送られたメッセージはほんの数分前に送信されたもので、短文だけど強烈な内容だった。

《バンドなんてやめろ。人殺し》

「送り主は生徒会長のフォロワーでも何でもないんだよ。通りすがりの嫌がらせかな? アタシら最近けっこう有名になってきたし……」

 愛大の言いたいことは分かる。たしかに、動画サイトにオリジナル曲の演奏シーンをアップするようになって知らない人達にも私達の活動が知られることになった。観た人からの反響も上々で大半が好意的なコメントだけど、中には私達のことをよく思わない人達のひどい書き込みもある。

「にしても人殺しはさすがにおかしくない? 空がそんなことするわけないし」

「アタシもそう思うよ。ただ、嘘か本当かは別にして、よほど個人的な恨みがないとこんなこと書いてこないはずだからさ……。ツイッター上では絡みのない相手だけど実際は生徒会長の知り合いなのかもしれないよ。同じ中学出身の人とか」

 私もそう思った。私達の活動をよく思わない人達、いわゆるアンチがいるのは分かっている。だからって人殺しは言い過ぎだし人権侵害だ。これが根拠のない誹謗中傷なら名誉毀損で訴えられるレベル。それくらいひどい。

「それにダイレクトメールじゃなく誰にでも見られる可能性ある場所にこんな書き込みするのも悪質だよ」

「生徒会長は見てるのかな、これ」

「電話してみる……!」

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