空を祈る紙ヒコーキ
数回呼び出し音が鳴ったけど空は出なかった。さっきLINEのメッセージを無視したから怒らせてしまったのかと思ったけどそんな子供っぽい奴ではないなと思い直した。頭を重くするような眠気は完全に消え失せ、それは痛みに変わっていく。
数回かけて、やっと空は電話に出た。
「空、今どこ?」
『家だけど。涼、さっきはごめん。本当に。俺何か嫌なことした? はっきり言ってほしい』
「そんなことよりツイッター見て!」
空は部室でのことを気にしていた。謝ってくれた空には申し訳ないけど今の私にはそんなことどうでもよかった。
『今日はまだ見てなかったな〜』
言いながら空は自室のパソコンからツイッターにアクセスした。すぐに例のメッセージを見つけたらしい。電話の向こうで息をのむ気配がした。
「その人誰? イタズラにしてもひどすぎるよ」
『いいよ。本当のことだから』
「やめてよ。何言ってんの?」
声が震える。静かで薄暗い室内。横にいた愛大にも空の声が聞こえたらしく、彼女も深刻な顔で私を見つめた。
「冗談だよね……?」
『俺のせいで人が一人亡くなってる。そのアカウントは亡くなった人の弟のものなんだ。彼からメッセージをもらうのはこれが初めてじゃない』