拗らせ女子に 王子様の口づけを

「あんまり深く考えなくていいと思うよ?」

三矢の気持ちが分かりすぎるほど分かって、それが逆に悩む私にみのりはなんて事ないわよと言う。

「あのね、沙織は野々宮先輩の事しか考えてこなかったから難しく考えちゃってるけど、別に遊びにいくくらい普通の友達ならするわよ?
そりゃ相手の気持ちを知ってる手前知らんぷりは出来ないけど、三矢君は自分を知ってほしいって言ってるわけでしょ?
それに彼だって沙織がすぐに答えが出せないことも分かってるんだし、
なら今は今まで通り三矢君と接したらいいのと思うわ」

そうなのかな。
本当にそれでいいのかな。

「デートに誘われたら?」

デートと言う単語一つ慣れない。

「行きたいって思ったら行ってもいいし、場所に釣られてでもいいんじゃない?
楽しかったんでしょ?ならそれでいいじゃない」

優しく笑うみのりに少し安心する。
色恋ごとに全く関わってこなかった事がここにきて尾を引っ張る。
26にもなって情けない。
< 126 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop